昨今、飼育環境や食事内容の良化や獣医療の進歩に伴い犬猫の寿命がどんどん伸びてきています。それと同時に病気の発生も多いです。ここ数年では猫の飼育頭数が犬の飼育頭数を超えてきて、ネコブーム!と言われていますね。
今回はネコの乳腺腫瘍のお話しです。
ネコの乳腺腫瘍も圧倒的に雌の発生が多くまた未避妊のネコの方が発症が多いと言われ雌生ホルモンの関与が関与していると思われます。
またネコの場合は、犬と比べて悪性(癌)のケースが非常に多く早期発見と積極的な外科治療が選ばれます。
17歳のメス猫です。
右の4番目の乳頭近くにシコリがあるとの主訴で来院されました。
各種検査の結果乳腺腫瘍が疑われ、転移所見もなく比較的早期の病変と思われましたが、若干の腎機能の低下が認められました。
とても元気な猫ちゃんですが、17歳という高齢のため今後の予後や幾つかの治療プランをお話しさせていただきました結果、外科手術を希望されました。
高齢猫であるため全身麻酔非常に慎重に行いました。複数の鎮痛薬・鎮静薬を使い麻酔薬量を減らすことができる‘コンビネーション麻酔’を行います。
猫の乳腺腫瘍は片側全摘手術や全摘手術などの広範囲切除をすることが多いですが今回のケースは片側のさらに半分の切除範囲で行いました。手術中の麻酔も非常に安定し覚醒もとてもスムーズにいきました。
シコリの結果は『乳腺腺癌』でしたが、リンパ節の転移所見も認められませんでした。
今後は腎機能低下の治療を行いつつ経過観察です。
まつい犬猫病院では、最善の治療法をご提案させていただき、飼い主さまと相談の元、治療方針を決定していきます。
本症例では超高齢ネコの全身麻酔を必要とする外科手術を無事行うことができました。
もっともっと長生きしようね〜!