股関節は骨盤と大腿骨をつなげる関節です。
大腿骨頭という円形の骨端が骨盤の寛骨臼という凹みにぴったり収まって機能する関節です。
この股関節が転倒や転落、交通事故など大きな力が加わることにより外れる状態を股関節脱臼と言います。犬の場合犬種によって元々外れやすい(関節が緩い)ことがあります。
治療は外れたものを戻すことが基本となり様々な治療がありますが、再発やその都度強い痛みや跛行・接地不全を起こすこともあり骨頭を切除し歩様を改善させる治療などもあります。
12歳のウエスティー リンちゃん。
雪道を散歩中に突然腰が落ちるようになり『キャン』と鳴いた後から左後肢が着かなくなり来院されました。
レントゲンで左後肢の脱臼所見が認められました。
麻酔下で非観血的に関節を戻し包帯で固定を行いましたが、数日で再脱臼を起こしてしまいました。
飼い主さまと幾つかの治療プランや今後の経過プランを相談し大腿骨頭切除術を行うことにしました。
全身麻酔は複数の鎮痛薬・鎮静薬を使い麻酔薬量を減らすことができる‘コンビネーション麻酔’を行いました。
手術後順調に抜糸を終え歩様も徐々に改善しています。現在はサプリメントを使い経過観察しております。